由緒
潮霊と塩土翁神・生道塩
伊久智神社の創祀は、古事記・日本書紀の海幸山幸に登場する塩椎神(塩土翁神)「潮霊」の御鎮座に始まります。境内全体が古代祭祀の場であり、古くは『生きる道の神』・『生命満ち引きの神』生道八剱大明神・本鹽竈さんと称され熱田神宮の神領で古来より人々に篤く崇敬されてきました
「潮霊」とは潮流を司る霊「潮つ霊」「潮つ路」「潮盈瓊」「潮涸瓊」
社伝には「生道郷に白髪の老翁 我は塩土老翁也と宣ひ 海潮を煮て塩を製する事を教え給ふ…神塩浜則鎮座」とあります
主祭神の塩土翁神がこの地に製塩方を教えて下さり素晴らしい『生道塩』が出来たので都(京都)に調(税)ではなく東寺(京都)に御供として奉納していたことが平安時代の『延喜式』巻二十四、巻三十三に記されています
又『延喜式』巻九、巻十の両巻の『神名帳』に記載された知多半島の式内社は三社です羽豆神社《師崎》阿久比神社《阿久比》入見神社《内海》
伊久智神社は式外社(本国神名帳宝永四年(1707)に記載)町内では唯一の神社です
生命みちひきの神様
例祭について
今では九月の第三日曜日となっております
明治以前は八月十七日(旧暦)以後は九月十七日でした
伊勢神宮の神嘗祭は古来より夜のお祭りで満月の光の中で執り行われており、このことから考えますと伊久智神社の御祭神が潮の満ち引きに繋がる神様と解ります
例祭当日に於いても以前は祭りの終盤で境内にて南組・北組の両組別れの前に若衆が沢山の塩を撒きながら太鼓の打ち合いをしておりました、その塩を浴びると無病息災に繋がると多くの人々が塩を掛けてもらいに集まりました
◇東浦町指定民俗芸能 伊久智神社神楽保存会よる奉納があります、伏見流・朝日流
御信仰・御利益
人の生死は潮の満ち引きに深い関係があるとされ、この世に生を受けてから亡くなるまでを守って頂ける神様として古くより信仰があります
生命みちひきの神様・安産の守護・延命長寿・厄祓いの神・産業開発・交通安全の神様として信仰されています
万葉仮名の『伊久智』の由来
安産のご祈願に陣痛が来たときに飲む薬と産後に飲む薬『伊久智乃薬』を頒布。
我が国最古の和方薬集成書(808)に記載。
文政5年由緒に「従三位伊久智天神は文治2年(1186)宣命により贈位の神階」と伝える
※天神とは?菅原道真公を示すのではなく「あまつかみ」と読みます。